管理人がゴルフで誇れることが、1つだけあります。
それはパッティングです。
「吊る」パッティングをイメージしてから、35パット以上することはありません。
パーオンしないだけだろ
ただ競技ゴルフをする中で、ショートパットに不安が出てきました。(特にひっかけ)
今回は、ショートパットに無類の強さを発揮すると言われるパッティングをご紹介します。
その名は「サイドサドルパッティング」
- ショートパットでのミスが多い
- 引掛けやヘッドの開きなど、ヘッド挙動が安定しない
- そもそも真っすぐ構えられていない
- パターイップスになっている
- 強い精神力を持っている
- 創意工夫が大好き
サイドサドルパッティングとは?
1.はじまりは
管理人が偶然思い付いたパッティングでした。
前掲の「ハンギングパット」のために最適なパターを探していた時のことです。
- 用具規則上、ライ角80度を超えるパターは使えない
- メルカリで「ライ角 80」などで探すも、ほぼ見つからない
- いつまでも工房で曲げ続けるのも、再現性が心配
- 長尺パターのライ角は、吊るしで78度のものがある
- シャフトを35インチほどに切れば、ハンギングパットに使えると画策
- どのように長い方のグリップを持つか試行錯誤
- 「アンカリング(後述)」をしないように立っているうちに、ボールの真横に立ってみることに
- スコスコ、簡単に入る
- ストロークの構造上ヘッドの回転を伴わないので、フォローでヘッドをインに引くことがない(引っ掛けない)
- 往年の名手サム・スニード(PGA通算82勝!)が、行っていたパッティングと判明
- 元祖の「クロケットスタイル」というボールを両足の真ん中に置くスタイルは、ルールで規制されている
- ボールの横に立つ打ち方は「サイドサドル」スタイルとして認められていた
2.なぜ良いと思ったのか
①:ターゲットゲームは正対した方がやりやすい
ゴルフのショットは、もともと飛球方向に正対しない不思議な構えです。
ボールを遠く飛ばすために必要なのは最近やっと理解しましたが、本来ターゲットを狙うスポーツは目標に正対した方が簡単です。
パターなら飛距離はいらないから、正対した方が良さそう
両目で見た方が、距離感も合いそうだ
実際にやってみたところ、今まで形で打っていたパッティングと違ってとても自然に打つことができます。
②:インパクト時のフェースの向きですべて決まる
パターはインパクト時のフェースの向きで、9割の方向性が決まると言われています。
ヘッド軌道はあまり関係ありません
身体を中心にヘッドが円を描く通常のストロークを異なり、ほぼ直線で動きます。
行進する時の右手の動きと同じなので、意図しなければヘッドが中に入ったり(フック)外に開いたり(スライス)することがありません。
ご存知のとおり通常の向きのパッティングは、ヘッドを真っ直ぐ引き真っ直ぐ出すことがとても難しいです。
「振り幅は…」とか「テークバックはヘッドを真っすぐ上げて…」とか、そんなことを考える必要はありません。
打った後のヘッドアップも気にならず、転がる軌道もよく見える
あとは私の尊敬するゴルフ変態、デシャンボー選手が取り入れていたことからです。
「ゴルフの科学者」と呼ばれるほど探究心の強い選手ですので、やる意味はあるはずです。
ちなみにデシャンボーがこの時に開発したカマボコ型パターは、「クラブのデザイン」違反とされてしまいました。
ですが、サイドサドル自体が違反となった訳ではありません。
いつも何かしら思い付き、怒られているところに親近感を覚えます。
大好きな片山プロもチャレンジしているね
ゴルフ界の誇る変態(褒め言葉)たちの競演だな
3.パッティングとはボールを自走させること
パッティングはボールを打つことではなく、ボールを自走させることだと管理人は思っています。
これは時松隆光プロの師、篠塚さんの桜美式ゴルフで唱えられていることです。
管理人はこの本から強く影響を受けており、テンフィンガーグリップも採用しています。
本能の赴くままに打つパッティングとしても、ライジングパットはピッタリです。
ボールが無回転で飛んでから転がるのではなく、地面に並行に動いたヘッドが斜めに上がっていくのでヒットした瞬間から順回転をボールにかけることができます。
このヘッドの動きが、ボールにエンジンを与え、最初から地面を噛みながらカップに向かって自走していくのです。
若干語弊はありますが、こすり上げる感じです
このこすり上げる動きで、大きなバックスイングを必要とせずにパッティングすることが可能となります。
サイドサドルの注意点
1.クロケットスタイルとの違い
サム・スニードが考案し、後にルールで禁止された「クロケットスタイル」との違いは何でしょうか。
少し堅苦しい話しですが、ゴルフ規則を見てみます。
プレーヤーは、故意に足をプレーの線(または球の後方延長上)の両側に置いたスタンス、またはいずれかの足でプレーの線(または球の後方延長上)に触れたスタンスでストロークを行ってはならない。
この規則に関してのみ、プレーの線にはその両側の合理的な幅を含まない。
例外-偶然にそうしたスタンスをとった場合や、別のプレーヤーのプレーの線を避けるためであった場合、罰はない。
マーカーを引いた部分の規則は、ある意味「クロケットスタイル」を禁止するためにできたものだそうです。
サイドサドルは、プレーの線を踏まないのでルールに適合しています
勉強になる記事を見付けたのでご紹介します
2.アンカリング違反
2016年のルール改正により、今まで認められていたグリップや前腕より先を体に固定する「アンカリング」が禁止されました。
それまで長尺パターでパッティングをしていたプロが、その使用を止めたので「長尺パター=違反」という間違った取られ方をする方もいます。
体に固定しなければ、違反ではないからな
ストロークを行う場合、プレーヤーはクラブを次のいずれかによりアンカリング(固定)してはならない:
- 体のどこかにクラブやクラブを握っている手を固定させることにより行う直接的にアンカリングすること(ただし、プレーヤーがクラブやクラブを握っている手をどちらかの手や前腕に固定させることは認められる)。
- 「アンカーポイント」を使用した関節的なアンカリング。クラブを握っている手を安定点(ここを安定点としてもう一方の手でクラブをスイングできる点)として使用するために前腕を自分の体のどこかに固定させることにより行う。
プレーヤーのクラブ、握っている手や前腕をストローク中に体に固定させているのではなく、単にプレーヤーの体や衣服に触れている場合、この規則の違反とはならない。
この規則に関して、前腕とは肘関節より下の腕の部分であり、手首を含む。
簡単に言えば、肘から先のどこかを体に固定させて打つと、違反になるということです。
これは長尺に限らず、どのパターを使っても同じです。
ルールを正しく理解していない方もいるので、違反と指摘されても問題ないパッティングを理解しましょう
左上の画像は「アームロック」だね
こちらは参考のため、載せておきます。
10.2b/1-アラインメントを援助するための自立式パターの使用は認められない
自立式パターが用具規則に適合していれば、ストロークを行うために使用することができる(規則4.1a(1))。しかし、プレーヤー(またはそのキャディー)はそのようなパターを規則10.2bに違反する方法による援助を得るために置くことはできない。
例えば、プレーの線を示したり、規則10.2b(3)に違反してストロークのためのスタンスをとる際にプレーヤーを援助するためにパッティンググリーンにある球の直後やすぐ近くにそのパターを立たせて置いてはならない。
10.2b(3)/1-プレーヤーがスタンスをとる援助のために球の後ろにクラブヘッドを置くことは認められる
規則10.2b(3)はプレーヤーがスタンスをとるときの援助となる物(アラインメント用の棒やゴルフクラブ)を置くことを認めていない。
しかしながら、この禁止事項は、プレーヤーが球の後ろに立って、プレーの線に直角にクラブヘッドを位置させて、その後で自分のスタンスをとるためにそのクラブをそのままに留めてその球の後ろから回り込む場合など、プレーヤーが自分のクラブヘッドを球の後ろに置くことを妨げてはいない。
3.距離感
方向性については無類の強さを誇るサイドサドルですが、距離感は慣れが必要です。
特に長尺パターはパター重量が重く、思いのほか強くボールが出てしまうことがありました。
打つのではなく、右手でボールを送るイメージ(カーリング的)でパッティングすると感触が良かったです。
サイドサドルパッティングのやり方
1.サイドサドルに適したパター
特殊な打ち方ですので、向いたパターも特徴があります。
①:ライ角
上でも書いたとおり、ライ角が立った(80度に近い)ものを求め、ここに行き着きました。
サイドサドルもハンギングパットと同じように、少しパターを吊った状態から打つのでライ角はなるべく立ったものが向いています。
②:長尺
動画で片山プロが少し長い程度のパターを使っているので、必ずしも長尺である必要はありません。
ですが、腰痛持ちの管理人はあまり前傾姿勢が深いと厳しいので長尺パターを選びました。
スタイルによっては、中尺やアームロックタイプでも良いと思います。
長いことで安定感が生まれるのは確かなのですが、長尺は扱いづらい部分もあるので37インチの中尺くらいに短くしてみました。
いつもどおり、必要なのは勇気だけ!
裂いて、切って、入れます。
金鋸で苦戦したので、ディスクグラインダーでカットしました。
リーズナブルなコレで十分でした
今回は普通の打ち方(ボールと正対)、サイドサドル(カップと正対)の両方を打ちやすくするためにアイアングリップを挿入しました。
ポイントは少し太めのグリップしたこと!
長尺用シャフトが太いので、径が細いタイプのパターグリップは入らないかもしれません。
③:ソール形状
管理人のパッティングは、吊る要素が強いのでどうしてもトゥダウンの構え方になります。
可能であればパターのトゥがグリーンに近付き過ぎないように、トゥ側が丸まった(上がった)形状が良いです。
管理人は普通のマレット形状なので、ソール形状は優先度低いです
2.サイドサドルパッティングのポイント
正直に申しますと、形はどうでも良いです。
本能で打つんだもんね
ただいくつか意識した方が良い点があるので、ご紹介します。
①:なるべくボールより後ろ側に立つ
視界の中に、ヘッド、ボール、カップが入った方が、当たり前ですが狙いやすいです。
まずは全てが視界に入る方法を試してみましょう。
ライジングにも打ちやすい!
②:ボールの横になるべく近く立つ
ボールから体が離れると、ライ角は寝てヘッドを制御しづらくなります。
下手投げのボーリングやカーリングをイメージすると、なるべく体から近くで投げる方が良さそうですよね。
アンカリングにならないように!
③:左手と右手は離す
右打ちの場合、左手はクラブを支える(吊る)、右手はヘッドに力を与えるという役割に分かれます。
左右の手が近くなってしまうと、ほとんど普通の打ち方と同じになってしまいます。
上で紹介した動画で片山プロが「正確性が求められるものを両手でやることが一番難しい」と言っていたのが印象的です
パターを吊り下げている左手は意識せず、右手のみで転がしているイメージが良いと思いました。
また右手はパターの重心に近い方をグリップしたほうが制御しやすいです。
体勢が崩れない程度に、下の方を持つと良いと思います。
④:手は自然にグリップ
右手も左手も、自分の腕が自然な位置・向きでグリップすべきです。
このパッティングはフェース面はねじれない(右や左を向かない)前提で、強さだけを右手が受け持つのが特徴です。
自然に腕を下ろした時の手首の向きでないと、自然な向きに戻るためにフェース面がねじれてしまいます。
左手も無理な持ち方とならないよう、注意しましょう。
4.管理人の打ち方(進化型:長尺版)
- ボール後方にヘッドを置き、目標方向に向いているかボールの後ろから確認
- この時自分
- ヘッドはソールを地面に付けた方が、目標が狂いづらい
ボールとヘッドが近い方が正確
- ヘッドの向きを参考に、ヘッドと並行に立つ
- ボールの左横やや後方に立つ(右足小指のつま先より少し先にボールがある)
※できる限りボールより後ろの方が、メリットがあります - 後方から横に回り込む際に、ヘッドの向きが変わらないよう注意
- ボーリングのように右手の肘の内側がややカップ方向に向く
- 右手の平は、自然な形で(管理人の場合はやや体側を向く)
右手の延長にクラブがあり、ブレ止めに左手を添えている感じです
左手の親指を直角に曲げ、左手の上腕横に付けると安定するね
- どちらかと言うと左手でクラブを吊り、右手でボールを送る感じ
- 右肩の下にパッティングをするマシーンが付いているイメージ
- 右腕を内側に絞ることで、バックスイング時にグリップと右股が干渉し上がらなくなる
- バックスイングはコンパクトに、ボールを送り出す
まだまだ発展途上ですが、少しずつ安定してきています!
ハーフベストタイ⛳️
— まめゴルフ@ドローは諦めました (@mame_golf_ie) August 1, 2023
苦手な打上げ&砲台の中、善戦しました!
別人28号も来てくれました🥹 pic.twitter.com/sv19YlMjT4
4.管理人の打ち方(旧型:長尺版)
- ボール後方にヘッドを置き、目標方向に向いているかボールの後ろから確認
- 左手のグリップは、グリップエンドを親指で押さえあとは持ちやすいように
※左手甲のラインを飛球線と並行にし、少し縦コックを入れやすくしています - この時自分
- 左手はグリップしたまましっかりソールし、ヘッドの向きが変わらないようスタンスへ
※この時シャフトが垂直になるよう、ベッタリとソールしない(トゥが浮く)
ボールに線を引く必要なくなったね
- ボールの左横やや後方に立つ(右足小指のつま先より少し先にボールがある)
※できる限りボールより後ろの方が、メリットがあります - 後方から横に回り込む際に、ヘッドの向きが変わらないよう注意
- 右足を少し引き、若干姿勢を低くする(ボーリングのイメージ)
- 右手は適度に下の方をクローなどで自由にグリップ、強く持たなければOK
※STEP1の時点で右手をグリップしても良い
- 若干フォワードプレスと反対に左手を身体側に倒す(ほんの数度)
- 若干フォワードプレスし、左手をカップ側に倒す ロフト角がもともと少ないので最小限に
- 左手は動かさず支点にして、右手でシャフトをテークバック
- 右手で静かにシャフトを送り出す(打つのではなく、押すイメージ)
- フォローは大きく取りすぎない
なんか船頭さんみたいだね
本人は大真面目です…
おまけ:パターのウェイトカスタマイズ
使用しているパターのウェイトは、左右(上下)ともに15gのものが入っています。(オデッセイの基本)
カスタムウェイトは、10gと20gが各20g入っているので、両方20gに変更しました。
オデッセイの説明書では、遅いグリーンで重いウェイトが推奨されています。
転がりが良くなるからだね
管理人の場合は、ヘッドが重い方がブレづらく小さな振り幅で転がせることを重視しています。
ヘッドの動きを最小限にした方が、ミスは小さくなります
おまけ2:方向性の微調整「鉛カスタマイズ」
約2ヶ月ほどサイドサドルパッティングをやってきて、ミスの傾向が固まってきました。
右回転が若干多い
普通のパッティングと較べれば本当に少しの回転なのですが、狙いどおりに正確に打てる分気になってきました。
打ち方を若干修正したり、狙い所を少しずらしたりと試行錯誤をしてみましたが、微調整を現場でするのは本末転倒です。
本番に強くなるために、打ち方変えたんだもんな
微調整と言ったら、「鉛」です。
使用する鉛は、薄い方が良いです。
管理人愛用の鉛で、曲線などにもピタッと貼ることができます。
また55mmで1gと軽いので、微調整もやりやすいです。
貼る場所による効果は、ざっくりですが以下となります。
貼る場所 | 直る出球 | ポイント |
---|---|---|
ヒール側 | スライス | 重心距離が短くなり、球がつかまる |
トゥ側 | フック | 重心距離が長くなり、つかまり過ぎをおさえる |
ソールセンター | ぶれ | ヘッドが効き、ヘッド挙動が安定する |
ソールフェース側 | 転がり | 重心が浅くロフトが立ち、転がりが良くなる |
ソール後方 | ぶれ | 重心が深くなり、ミスヒットに強くブレづらくなる |
今回はスライス回転を消すため、ヒール側に鉛を1.3gほど貼りました。
貼るのも剥がすのも簡単なので、練習やコースを繰り返しながら微調整しましょう!
まとめ
今回はショートパットに絶大な威力を発揮する、「サイドサドルパッティング」をお届けしました。
ちょっとコースでやるには勇気がいるパッティングだと思いますが、競技でショートパットを3パットする恐怖に比べたら何てことはありません。
「お先に」からの得意技だもんね!
そもそもショットメーカーのサム・スニードが、パターイップスから苦肉の策として考えだしたのが始まり。
流麗なスイングを持つプロでも、悩むのがパッティングです。
実際にラウンドに投入したらいきなりベスト更新!
長いパット(8歩以上)はいつものハンギングパット、それ未満の距離はサイドサドルで狙ってみました。
失敗したのはラインを読み違えたものだけで、あとは引っ掛けることもなく自信を持ってパットできました。
パッティングに自信が持てない方は、一度試してみると目からウロコが落ちますよ!
練習しなくても真っすぐ打てるのはすごいな!
管理人が使っているパター紹介